
ブリヂストンからこれまでにない新たなモデル、BX2HT アイアンが発売されました。
同社の中でスペックが違い「BX2HT」「245MAX」「258CBP」の3モデルについて、構造・性能・対象プレーヤーの違いを整理しました。
▼241CB・242CB+・258CBPアイアンの3機種の違いは下記記事をご覧ください。

BX2HTは、258CBPと245MAXの間のアイアン
▼ブリヂストンの全アイアン

※上段左から220MB、241CB、242CB+、下段左から258CBP、BX2HT、245MAX
ブリヂストンのアイアンは、これまでウッド系の「Bシリーズ」「BXシリーズ」とは異なるネーミングで展開されてきました。
しかし、2025年後期のウッドモデル刷新に合わせて、BXシリーズから新たにBX2HTアイアンが登場。ウッド・アイアンのブランド統一の兆しが見え隠れします。
「B」「BX」シリーズは、かつてのPHYZやJGRとは一線を画すアスリート向けのブランドですが、近年はやさしさを重視したモデルも増えていて、アベレージゴルファー向けの選択肢も取り入れています。
今回のBX2HTアイアンもその流れを汲んでいて、アベレージ層向けのやさしさと飛距離性能を備えたモデルとなっています。その位置づけは、操作性重視の258CBPと、寛容性特化の245MAXの間にあり、性能面ではやや245MAX寄りのバランス型といえます。
ここからは、対象ゴルファーが近いこの3モデルの違いを、スペック・弾道・構造・価格の観点から詳しく比較していきます。
258CBP・BX2HT・245MAX アイアンの違い
①ヘッド形状の違い
▼左から258CBP、BX2HT、245MAX

ネック形状を比較すると、258CBPはかなりストレートで、BX2HTではグースが感じられ、245MAXになると極端なグースです。
実際にFP値(7番)で比較しても、3.85mm、1.70mm、1.50mmとなっていて、BX2HTと245MAXがオフセットが大きめになっていることが分かります。
ちなみに、258CBPはオフセットが242CB+と全く同じ設定になっていますので、この点からもアスリート寄りであることがお分かりいただけるかと思います。
BX2HTは、操りたい方が構えやすい形状です。
DD-2はグースがはっきりとあり、つかまりの良さ、そして、弾道の強さが出やすい形状です。アベレージゴルファーが安心して構えやすい形状です。
▼左から258CBP、BX2HT、245MAX

こちらはフェースの映像を並べたものです。
ブレード長は79mm(258CBP)、84.2mm(BX2HT)、86.2mm(245MAX)となっています。
258CBPの79mmは、操作感と安心感の両方がある程よいサイズ感で、中級者向けです。一方、BX2HTの84.2mm、245MAXの86mmは5mm以上長いため、ヘッドの大きさを感じさせ安心感があるタイプです。
②構造・素材の違い
| モデル | 258CBP | BX2HT | 245MAX |
|---|---|---|---|
| 形状 | ポケットキャビティ | ポケットキャビティ | ポケットキャビティ |
| 対振動 | (軟鉄使用) | 樹脂素材 | ラバー素材 |
| 素材 | 軟鉄(S20C) | 17-4PLUS | HSメタルX37 |
| 製法 | 鍛造 | 鋳造 | 鋳造 |
3モデルともにポケットキャビティを採用しています。
素材と製法に目を向けると、258CBPは軟鉄(S20C)鍛造という伝統的なアスリート向け仕様です。打感や操作性を重視した設計で、対振動性も素材そのものに由来しています。
一方、BX2HTと245MAXは鋳造モデルで、BX2HTにはステンレス(17-4PLUS)、245MAXには高強度メタル(HSメタルX37)が採用されています。いずれも弾きの良さと強度に優れ、飛距離性能を高めるのに適した素材です。
打感に関しては、鋳造モデルの弱点を補うため、BX2HTには樹脂素材、245MAXにはラバー素材の制振材がポケット部に内蔵されています。これにより、弾きの中にも柔らかさを感じるフィーリングが実現されています。
ここで忘れてはならないのは、これらの制振技術がブリヂストンによるものであるという点です。世界的なタイヤメーカーですから、振動制御に関する技術はトップクラスです。鋳造ポケットキャビティでありながら、打感制御の完成度は高く、フォージドとは異なる質感ながらも、ムチッとした心地よさが備わっています。
③弾道の違い
| モデル | 258CBP | BX2HT | 245MAX |
|---|---|---|---|
| 飛距離 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 操作性 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
| 寛容性 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| つかまり | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
弾道には3モデルではっきりとした違いがあります。操作性、飛距離、つかまりなど求める要素に合わせて選びやすく設計されています。
弾道性能は、258CBP・BX2HT・245MAXの3モデルで明確なキャラクター分けがされています。
飛距離、操作性、寛容性、つかまりといった要素がそれぞれ異なっていますので、ゴルファーの志向に応じて選択しやすくなっています。
- 258CBP:
操作性に優れたモデルで、意図した弾道を描きやすいのが特徴。飛距離や寛容性は標準的で、つかまりは控えめ。中・上級者がラインを狙って打ちたい場面で活躍。 - BX2HT:
飛距離と寛容性のバランスが良く、つかまりも自然。操作性はやや抑えられているものの、安定した中高弾道を描きやすく、幅広い層に対応する万能型。 - 245MAX:
飛距離性能と寛容性、つかまりの良さが際立つモデル。操作性は控えめだが、高弾道でしっかりつかまる設計のため、ミスに強い。飛距離を求めるアベレージゴルファーに最適。
④スペックの違い
▼ロフト角の比較
| 番手 | 258CBP | BX2HT | 245MAX |
|---|---|---|---|
| 5 | 23.5 | 22 | - |
| 6 | 26.5 | 25 | 24 |
| 7 | 30 | 28 | 27 |
| 8 | 34.5 | 33 | 31 |
| 9 | 39 | 38 | 35 |
| PW/P1 | 44 | 44 | 39 |
| P2 | - | - | 44 |
| AW | - | 50 | 50 |
| SW | - | 56 | 56 |
*245MAXにはPWはなくP1
258CBPは操作性を重視した寝たロフト、BX2HT、245MAXは飛距離を優先したストロングロフトとなっています。
なお、BX2HTと245MAXではウェッジの組み方に大きな違いがあります。通常、ストロングロフト設計のモデルでは、ショートアイアンからウェッジにかけてのピッチが広がりやすいという課題がありますが、245MAXはその点に配慮されています。
PWをP1(39°)とP2(44°)に分けることで、9番(35°)からのロフト差を段階的に抑えていて、飛距離差が安定しやすくなっています。
▼シャフトの比較
| シャフト | 258CBP | BX2HT | 245MAX |
|---|---|---|---|
| N.S.PRO MODUS3 TOUR105 DUAL FLOW |
S | ||
| Diamana iB65 | S | ||
| Diamana BS50hⅡ | S/R | ||
| SPEEDER NX BS50i | S | ||
| N.S.PRO 850GH neo | S | ||
| VANQUISH BSi for MAX | S/R |
各モデルに設定されている標準シャフトは、ヘッド性能との相乗効果を意識した構成となっています。
- 258CBP:
N.S.PRO MODUS3 TOUR105 DUAL FLOW(S)を標準装着。操作性とフィーリングを重視した中重量シャフト。中・上級者向けの挙動。 - BX2HT:
Diamana iB65(S)、Diamana BS50hⅡ(S/R)、SPEEDER NX BS50i(S)、N.S.PRO 850GH neo(S)をラインアップ。重量帯・調子・素材の異なる複数の選択肢を用意し、幅広いスイングタイプに対応。飛距離と寛容性のバランスを支える構成。 - 245MAX:
VANQUISH BSi for MAX(S/R)を標準装着。軽量・高弾道設計。つかまりと飛距離性能を最大化するための専用設計。アベレージ層に最適。
258CBP・BX2HT・245MAX アイアンの特徴・スペック・価格
258CBPアイアン
258CBPアイアンは、飛距離性能を持たせつつも、操作性と打感をしっかり残した中級者向けモデルです。
本来的には、ブリヂストンのアスリートラインである241CBや242CB+と比較されるべき位置づけで、軟鉄(S20C)鍛造による構造は、柔らかく繊細な打感と、明瞭なフィードバックを両立しています。
ポケットキャビティ構造を採用しながらも、寛容性に振りすぎておらず、ロフト角も7番で30°とアスリートモデルとしては立ち気味です。
中級者だけでなく、飛距離が落ちてきたシニアアスリートにもオススメです。
<スペック>
| 番手 | ロフト角 | ライ角 | FP |
|---|---|---|---|
| 5 | 23.5 | 61 | 3.35 |
| 6 | 26.5 | 61.5 | 3.65 |
| 7 | 30 | 62 | 3.85 |
| 8 | 34.5 | 62.5 | 4.25 |
| 9 | 39 | 63 | 4.55 |
| PW | 44 | 63.5 | 5.05 |
<価格>
- 6本セット(#5~PW):145,200円
BX2HTアイアン
BX2HTアイアンは、アベレージゴルファー向けに設計された、飛距離性能とやさしさのバランスに優れたモデルです。
ポケットキャビティ構造と鋳造ボディにより、ミスヒットへの許容度が高く、安定した弾道を描きやすい設計となっています。制振材として樹脂素材をポケット部に内蔵することで、鋳造モデルながらも柔らかさを感じる打感が実現されており、フィーリング面でもストレスの少ない仕上がりです。
ロフト角はやや立てられており、飛距離性能を意識した設計です。これにより、飛距離の維持を求めるアベレージ層にとって扱いやすく、しっかりとした中高弾道で安定したショットが期待できます。
なお、245MAXが寛容性を最重視した設計であるのに対し、BX2HTはその傾向をやや抑えたバランス型です。極端なやさしさではなく、飛距離・打感・安定性の調和を重視した設計となっており、アベレージゴルファーが安心して使える中にも、適度なフィードバックが得られるモデルです。
<スペック>
| 番手 | ロフト角 | ライ角 | FP |
|---|---|---|---|
| 5 | 22 | 61 | 1.25 |
| 6 | 25 | 61.5 | 1.45 |
| 7 | 28 | 62 | 1.7 |
| 8 | 33 | 62.5 | 1.95 |
| 9 | 38 | 63 | 2.15 |
| PW | 44 | 63.5 | 2.35 |
| AW | 50 | 63.5 | 3.15 |
| SW | 56 | 63.5 | 3.25 |
<価格>
- 5本セット(#6~PW):132,000円
- 単品(#5・SW・AW):26,400円
245MAXアイアン
245MAXアイアンは、飛距離性能と寛容性を最重視したアベレージゴルファー向けモデルです。高強度メタル(HSメタルX37)を採用した鋳造構造により、強い弾きと高初速を実現しています。
ポケットキャビティ内部にはラバー素材の制振材を搭載。鋳造モデルながらも、打感に柔らかさと心地よさがあり、安心感のあるフィーリングに仕上がっています。
ロフト角は7番で27°と、シリーズ中もっとも立てられた設計。飛距離をしっかり確保しつつ、高弾道でグリーンを狙える構成です。PWはP1(39°)・P2(44°)の2段構成で、ストロングロフト特有の番手間ギャップを抑える工夫も施されています。
寛容性に優れ、ミスヒットにも強い設計のため、スイングに不安があるプレーヤーでも安定したショットが打ちやすく、ゴルフの楽しさを引き出してくれるモデルです。
<スペック>
| 番手 | ロフト角 | ライ角 | FP |
|---|---|---|---|
| 6 | 24 | 61.5 | 1.25 |
| 7 | 27 | 62 | 1.5 |
| 8 | 31 | 62.5 | 1.75 |
| 9 | 35 | 63 | 1.75 |
| P1 | 39 | 63.5 | 1.75 |
| P2 | 44 | 63.5 | 2 |
| AW | Jun-50 | 63.5 | 2 |
| SW | Dec-56 | 63.5 | 2.25 |
<価格>
- 5本セット(#7~P2):154,000円
- 単品(#6・SW・AW):30,800円
まとめ
ブリヂストンのアイアン3モデルは、操作性と打感を重視したアスリート志向の258CBP、飛距離と寛容性のバランスに優れたBX2HT、そして最大限のやさしさと飛距離性能を追求した245MAXという構成です。
いずれもポケットキャビティ構造を採用しながら、素材・製法・制振技術・ロフト設計・シャフト構成に至るまで、それぞれのターゲットに最適化された設計がなされています。
アスリートからアベレージ層まで、弾道や打感の違いを楽しみながら、自分に合った一本を選べるラインアップです。
▼241CB・242CB+・258CBPアイアンの3機種の違いは下記記事をご覧ください。




