ミズノのMizuno Proシリーズから発売の「M-13」と「M-15」の2つのアイアンについて、構造・性能・対象プレーヤーの違いを整理しました。
M-13、M-15アイアンの位置づけ
▼左がM-13、右がM-15
2026年モデルから、ミズノはアイアンの体系が「Sシリーズ(Signature)」と「Mシリーズ(Modern)」に再編されています。
- Sシリーズ:241の後継として、S-1とS-3
- Mシリーズ:243・245の後継として、M-13とM-15
S-1・S-3が操作性と打感を重視したアスリート向けであるのに対し、M-13・M-15は飛距離性能と寛容性を重視したモダン設計となっています。

SはSignature、MはModernの意味!
つまり、MシリーズはPROシリーズの中ではやさしい方の2モデルとなります。
- M-13:243の後継。操作性と飛距離性能のバランスを追求した“中上級者向け鍛造キャビティ”
- M-15:245の後継。高弾道・高反発性能を備えやさしさを重視した“中空構造”
テーラーメイドで言えば、M-13はP770、M-15はP790に近い位置づけです。
M-13、M-15アイアンの違い
①“顔”と“飛び”の違いが明確:M-13はコンパクト、M-15はストロングロフト
▼左がM-13、右がM-15
この2モデルは、スペック面での違いが非常に明確です。
まず注目すべきはヘッドサイズです。M-13の方がコンパクトで、ブレード長も短めに設計されています。
- M-13:76.4mm
- M-15:78.9mm
M-13はシャープですっきりした顔なのに対して、M-15はやや大きめで安心感のある顔です。
冒頭で触れたように、テーラーメイドのP770(M-13)とP790(M-15)の関係に近く、ブレード長の差もほぼ同等です。
<ロフト角の比較>
番手 | M-13 | M-15 | 差 |
---|---|---|---|
4番 | 22° | 20° | 2° |
5番 | 25° | 23° | 2° |
6番 | 28° | 26° | 2° |
7番 | 32° | 29° | 3° |
8番 | 36° | 33° | 3° |
9番 | 40° | 38° | 2° |
PW | 44° | 43° | 1° |
GW | 48° | 48° | 0° |
次にもう一つ注目したいのはロフト設定です。7番ではM-13が32°、M-15が29°となっていて、ウェッジを除くと、概ね2〜3°の差を設けてあります。
M-15はPROモデルとしてはかなりストロングな設定になっていて、中空構造と低重心設計の効果も相まって、ロフト以上に高打ち出しが出やすく、アベレージゴルファーでも扱いやすいアイアンです。
ただし、ヘッドサイズはそこまで大きくないため、“やさしさ一辺倒”ではなく、上を目指すアベレージゴルファー〜中級者が対象ゴルファーとして挙げられます。
②操作感は“ほぼ同等”:グース感と抜け感に差はなし
<バウンス角とFPの比較>
番手 | M-13 | M-15 | ||
---|---|---|---|---|
バウンス角 | FP | バウンス角 | FP | |
4番 | 2° | 3.1mm | 2° | 3.1mm |
5番 | 3° | 3.2mm | 3° | 3.2mm |
6番 | 4° | 3.3mm | 4° | 3.3mm |
7番 | 5° | 3.5mm | 5° | 3.5mm |
8番 | 6° | 3.7mm | 6° | 3.7mm |
9番 | 7° | 3.9mm | 7° | 3.9mm |
PW | 8° | 4.1mm | 8° | 4.1mm |
GW | 9° | 4.2mm | 9° | 4.2mm |
先ほどはブレード長とロフト角の違いに注目しましたが、今度はバウンス角とFP(フェースプログレッション)の数値を見てみましょう。
驚くべきことに、全番手で完全に一致しています。
FPはグース(オフセット)度合いを示す指標で、構えたときの“フェースの見え方”に直結します。
▼左がM-13、右がM-15
両モデルともにわずかにグースが入った設計で、ストレートすぎず、ほんのり安心感のある“顔”に仕上がっています。
バウンス角は、ソールの抜け感やダフリにくさに関わる重要なスペックですが、こちらも同じ値です。つまり、振り抜けの感覚や弾道操作性は、M-13とM-15でほぼ同じと言って良いでしょう。
ヘッドサイズやロフト設定には違いがあるものの、構えたときの印象やスイング中の抜け感は共通しており、“操作感”という点では非常に近い設計です。
③ キャビティと中空:“打感のM-13”か、“飛距離のM-15”か
▼左がM-13、右がM-15
M-13とM-15は、構造の違いが打感と飛距離性能に明確に表れます。操作感はほぼ同等ですが、インパクトの質感とボールの伸び方には、設計思想の差がくっきりと現れています。
モデル | M-13 | M-15 |
---|---|---|
構造タイプ | キャビティ構造 | 中空構造 |
打感 | ソリッドで繊細なフィードバック | やや弾き感のある軽快な打感 |
飛距離性能 | ロフトなりのコントロール型 | 高初速・高弾道の飛び系 |
寛容性 | 中程度(精度重視) | 高め(ミスに強く高弾道) |
対象プレイヤー | 中級者〜上級者 | アベレージ〜中級者 |
この表が示す通り、M-13とM-15の構造的な違いは、“打感”と“飛距離性能”に集約されます。
操作感はほぼ同等で、構えたときの印象や振り抜けの感覚に大きな差はありません。つまり、選ぶべきポイントは「打点の繊細さを味わいたいか」「飛距離で攻めたいか」です。
M-13:打点の繊細さを味わえる“打感特化型”
M-13はキャビティ構造ながら、フェース裏の肉厚設計により、打点のフィードバックが繊細に返ってくる設計。打音は締まりがあり、フェースのどこで打ったかが手に伝わる“芯を喰う快感”が味わえます。
飛距離性能はロフトなりで、狙った距離を打ち分けたいプレーヤーに向いた設計。打感を重視する中級者〜上級者にとって、“アイアンらしい弾道と感触”を楽しめるモデルです。
M-15:高初速と高弾道で飛ばす“飛距離特化型”
M-15は中空構造により、フェース全体がわずかに“弾く”感触があり、高初速・高弾道を実現する設計。打感は軽快で、ボールが前に伸びていく感覚が強く、飛距離性能を重視するゴルファーに適しています。
ロフトが立っているため飛距離が出やすい一方で、打感の繊細さはやや控えめ。“飛び系”としての顔が明確で、アベレージ〜中級者が安心して使えるモデルです。
M-13、M-15アイアンの外観・スペック
M-13アイアン
No. | ロフト角 | ライ角 | バウンス角 | FP | 長さ |
---|---|---|---|---|---|
4 | 22 | 60.5 | 2 | 3.1 | 38.75 |
5 | 25 | 61 | 3 | 3.2 | 38.25 |
6 | 28 | 61.5 | 4 | 3.3 | 37.75 |
7 | 32 | 62 | 5 | 3.5 | 37.25 |
8 | 36 | 62.5 | 6 | 3.7 | 36.75 |
9 | 40 | 63 | 7 | 3.9 | 36.25 |
PW | 44 | 63.5 | 8 | 4.1 | 35.75 |
GW | 48 | 64 | 9 | 4.2 | 35.5 |
M-15アイアン
番手 | ロフト角 | ライ角 | バウンス角 | FP | 長さ |
---|---|---|---|---|---|
4 | 20 | 60.5 | 2 | 3.1 | 38.75 |
5 | 23 | 61 | 3 | 3.2 | 38.25 |
6 | 26 | 61.5 | 4 | 3.3 | 37.75 |
7 | 29 | 62 | 5 | 3.5 | 37.25 |
8 | 33 | 62.5 | 6 | 3.7 | 36.75 |
9 | 38 | 63 | 7 | 3.9 | 36.25 |
PW | 43 | 63.5 | 8 | 4.1 | 35.75 |
GW | 48 | 64 | 9 | 4.2 | 35.5 |
M-13、M-15アイアンの発売日・発売価格
M-13アイアン、M-15アイアンの発売日は2025年8月29日です。
発売価格は、ダイナミックゴールド、NSプロ MODUS3ツアーが刺さった6本セット(5~PW)で165,000円です。