ミズノのMizuno Proシリーズから発売の「S-1」と「S-3」の2つのアイアンについて、違いをまとめました。
S-1、S-3アイアンの位置づけ
▼左がS-1、右がS-3
2026年のミズノアイアンは、これまでと体系が大きく変わりました。
従来まではのモデル構成は以下の通りです。
- 2022年モデル:221・223・225
- 2024年モデル:241・243・245
そして2026年モデルでは、以下のようにSシリーズとMシリーズに分かれています。
- Sシリーズ:241の後継として、S-1とS-3
- Mシリーズ:243・245の後継として、M-13とM-15

SはSignature、MはModernの意味!
このうち、Sシリーズは最もアスリート向けの設計で、
- S-1:241の純粋な後継。マッスルバック構造で操作性と打感を重視
- S-3:S-1の設計思想を継承しつつ、キャビティ構造でやや寛容性を加えたモデル
テーラーメイドで言えば、P7MB(マッスルバック)とP7CB(キャビティ)の関係性。PINGで言えば、BLUEPRINTアイアンのTとSの関係に近い構成です。
つまり、S-1は操作性と打感を極限まで追求した純粋なマッスルバック、S-3はキャビティ構造によって寛容性を加えたモデルという位置づけになります。
S-1、S-3アイアンの違い
① S-1はシャープ、S-3はややグースで安心感
▼左がS-1、右がS-3
フェース形状を比較すると、S-1の方が明らかにコンパクト。ブレード長にも差があり、
- S-1:74.5mm
- S-3:76.6mm
ネック形状にも違いが見られます。
- S-1:グース量 4.4mm(ストレート寄り)
- S-3:グース量 3.7mm(ややオフセット)
S-1はシャープな輪郭とストレートネックで、弾道を自在に操りたいプレーヤー向け、一方、S-3はわずかにサイズアップされていて、ネックにもオフセットが加わることで、構えたときの安心感と寛容性が備わっています。
② マッスルとキャビティ:“芯を喰う快感”か、“包み込む安心感”か
S-1は、軟鉄鍛造によるマッスルバック構造。バックフェースに凹みがなく、重量が中央に集まることで、打点のフィードバックがダイレクトに返ってきます。打音・打感・操作性のすべてが“純粋”に設計されています。
一方、S-3は同じく軟鉄鍛造ながら、ハーフキャビティ構造。バックフェースに浅い凹みを設けることで、重量を周辺に分散。これにより、打点のズレに対する寛容性が生まれ、弾道の安定性が向上します。
モデル | 構造タイプ | 打感 | 操作性 | 寛容性 |
---|---|---|---|---|
S-1 | マッスルバック | 研ぎ澄まされた | 高い | 低い |
S-3 | ハーフキャビティ | 柔らかく包み込む | やや高い | 中程 |
上記の表が示す通り、S-1とS-3には構造的な違いがありますが、誤解してほしくないのは、どちらもミズノの最上位モデル「241アイアン」をルーツに持つ、上級者向けのアイアンであるという点です。
S-3に“寛容性”があるとはいえ、それはあくまでS-1との比較における相対的なもので、アベレージゴルファーやセミアスリートがクラブに助けられて扱いやすいという意味ではありません。
むしろ、S-3は「打点のシビアさは自覚しつつも、わずかな許容性を求めるプレーヤー」のための選択肢です。つまり、“寛容性のある上級者モデル”という位置づけであり、やさしさを前面に押し出したモデルではない点には注意が必要です。
こうした構造の違いは、打感・操作性・寛容性といった性能面にも明確に表れます。以下に、S-1とS-3の特徴を項目別に整理しました。
特徴項目 | S-1 | S-3 |
---|---|---|
デザイン | クラシックなマッスルバック | モダンなキャビティバック |
打感 | ソリッドで繊細なフィードバック | 柔らかく寛容性のある打感 |
対象プレイヤー | 上級者・操作性重視 | 中級者〜上級者・安定性重視 |
寛容性 | 低め(精度重視) | 高め(ミスに強い) |
飛距離性能 | コントロール重視 | 飛距離と直進性のバランス |
この表が示す通り、S-1は“芯を喰う快感”を求めるプレーヤーに、S-3は“包み込む安心感”を求めるプレーヤーに適した設計となっています。
③スペックの違い:同じロフトでも、クラブの“顔”と“抜け”が違う
S-1とS-3は、番手ごとのロフト角は全く同じです。その意味では、飛距離性能には大きな差はないと言って良いでしょう。
しかし、バウンス角とグース(FP値)には違いを持たせてありますので、これが打ち出しの安定性や構えたときの印象に影響します。
<7iのスペック比較>
モデル | S-1 | S-3 |
---|---|---|
バウンス角 | 7.0° | 6.0° |
FP値 | 4.4mm | 3.7mm |
バウンス角:
S-3の方が全番手で1度小さく設計されています。芝との接地抵抗が少ないため振り抜けの良さを持たせてあります。一方、S-1はややバウンスが大きく、打点の入り方に対して繊細な操作が求められます。
FP値(フェースプログレッション):
S-1の方が数値が大きく、よりストレートネック寄りの設計です。これは、フェースが前に出て見えることで、構えたときに“直線的な印象”を与え、操作性を重視するゴルファーに適しています。
一方のS-3は、FP値がやや小さく、“ほんの少しだけグース”が入った設計。つかまり感と安心感をわずかに加えた構えやすさが特徴です。
S-1、S-3アイアンの外観・スペック
S-1アイアン
番手 | ロフト角 | ライ角 | バウンス角 | FP | 長さ |
---|---|---|---|---|---|
4 | 24 | 60.5 | 4 | 4.1 | 38.75 |
5 | 27 | 61 | 5 | 4.2 | 38.25 |
6 | 30 | 61.5 | 6 | 4.3 | 37.75 |
7 | 34 | 62 | 7 | 4.4 | 37.25 |
8 | 38 | 62.5 | 8 | 4.5 | 36.75 |
9 | 42 | 63 | 9 | 4.6 | 36.25 |
PW | 46 | 63.5 | 10 | 4.7 | 35.75 |
S-3アイアン
番手 | ロフト角 | ライ角 | バウンス角 | FP | 長さ |
---|---|---|---|---|---|
4 | 24 | 60.5 | 3 | 3.4 | 38.75 |
5 | 27 | 61 | 4 | 3.5 | 38.25 |
6 | 30 | 61.5 | 5 | 3.6 | 37.75 |
7 | 34 | 62 | 6 | 3.7 | 37.25 |
8 | 38 | 62.5 | 7 | 3.8 | 36.75 |
9 | 42 | 63 | 8 | 3.9 | 36.25 |
PW | 46 | 63.5 | 9 | 4 | 35.75 |
S-1、S-3アイアンの発売日・発売価格
S-1アイアンの発売日は2025年8月29日、S-3アイアンの発売日は2025年3月7日です。
発売価格は、ダイナミックゴールドシャフトの6本セット(5~PW)で151,800円です。